なぜアメリカのデビットカードの特典が消えたのかー真相について

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ドッド・フランク法の産物

2008年に起きたリーマン・ショックの再発防止策として、2010年にオバマ政権が導入した「ドッド・フランク法(Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act)」があります。

この法律の一環として、米上院議員リチャード・ダービン(Richard Durbin)が提出した「ダービン改正案」があります。

この改正案は、銀行が店舗に対して徴収するデビットカードの手数料に上限を設けるものでした。

 

重要な収益源だったデビットカード

当時、銀行業界においてデビットカードの手数料は重要な収益源であり、そのおかげで多くの銀行が口座維持費無料のチェックアカウントを提供していました。

しかし、その手数料が小規模事業者や消費者にとって負担となっているという指摘がありました。

大手企業のように取引量が多い場合、銀行と交渉して手数料を引き下げることができますが、小さな飲食店や店舗はそうはいかず、高い手数料を払うか、その負担を消費者に転嫁するしかありませんでした。

ダービン改正案はこの問題を解決するためにデビットカードの手数料に上限を設けましたが、銀行は減少した収益を補填するためにチェックアカウントの運用手数料やクレジットカード手数料を引き上げることになりました。

その結果、銀行はデビットカードの特典を廃止し、代わりに収益性の高いクレジットカードを推奨するようになりました。

このように、ダービン改正案は小規模事業者や消費者の負担軽減を目指したものでしたが、結果的には銀行業界の対応により別の形で消費者に影響を及ぼすことになったのです。

デビットカード特典がまったくないわけではない

ドッド・フランク法以降、クレジットカード特典ほどの特典はありませんが、すべてのデビットカードから特典が消えたわけではありません。

例えば、ネット銀行であるAxos Bankなどでは、デビットカードの利用に対して0.5%~1%のキャッシュバックを行っています。

最低口座開設入金額が250ドル入金するだけで、口座維持費は無料で0.5%~1%のデビットカード特典がある口座が作れます。

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Hiryu T

日本で生まれ、幼少期は台湾で育ち、大学卒業まではまた日本で過ごす。そしてエンジニアとなった今はアメリカで生活する。何かと人生が忙しそうな人。

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